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2005年02月05日
■ はじめに
薬物乱用とは覚せい剤や大麻など法律で禁止されている薬物や、使用方法が法律で定められているシンナーなどの有機溶剤を、不正に使用することをいうが、近年わが国における薬物の乱用は、中学生や高校生の間にまで浸透するようになった。
また、科学的に作られた薬物でMDMAなどのエクスタシーとよばれる合成麻薬の使用が10代,20代の若者にもまん延している。薬物乱用に併行して少年犯罪も増加しておりもはや傍観を許される時期ではない。
1. これまでの薬物乱用の流れ
わが国における麻薬・覚せい剤等の薬物乱用問題は終戦直後の混乱した社会から発生した。
昭和20年後半と昭和30年代に大きなまん延があり、平成9年には全国的に覚せい剤乱用が広がった。
昭和45年ごろから大麻やLSDといった薬物が広がるようになり同時に覚せい剤も急激に増加し、政府も昭和48年には、覚せい剤取締法改正が行われた。
近年、コカイン、大麻のほかにMDMAなどのエクスタシーと呼ばれる合成薬物が広がり、平成13年にはMDMA等錠剤麻薬の押収量が過去最高の10万錠を超え、前年度に比較し50%増加している。
特に若年者においては、インターネットや携帯電話でこれらの薬物が容易に入手可能になっており、今後重要課題として考慮されねばならない。
覚せい剤の密売等には、暴力団の介在があり、組織的に密輸や売買等に関わっている。
同時に外国人による密売行為も増加しており、国全体の社会問題として対策を取らなければならない。
また、麻薬のような作用がありながら、法規制対象外になっているため、公然と街中で売られているいわゆる「脱法ドラッグ」が若者のあいだで広まりつつある。
このような身近な有害商品の存在も、子供たちの興味をそそるような状況にもなっている。
2.なぜ中高生にまで薬物乱用がおこるか。
思春期は自我の確立と同時に身体的、精神的に不安定な要素を併せ持っている。
その結果のひとつとして、好奇心または他人からの誘惑で薬物に走ることになるが、当然この事は未然に防ぐ事が可能な事でもある。
薬物できれいにやせられるとか、勉強や運動に集中力がつくというような言葉につられて始めてしまうケースが後を絶たない。
日本学校保健会編のストップ・ザ・ドラッグという生徒向けの小冊子には、薬物乱用への誘いの言葉として次のように掲げている。
・みんなやってるよ
・ちょっとだけ、ためしてみようよ
・ただの栄養剤だから大丈夫
・かんたんにやせられるよ
・イライラしなくなるし、集中力がつくよ
・最高に楽しくなれるよ
・肌がきれいになるよ
・成績が上がるよ
・一回だけなら関係ないよ
・いつでもやめられるよ
・お金はいらないよ
・とりあえず、わたしておくよ
このような甘い言葉に誘われ、薬物について無知なために悲劇の一歩を踏み込むことになる。
の時期はテレビ、雑誌等のメディアの影響も受けやすく、やや反社会的な行動にかっこいいと憧れの念を抱いてしまう子供たちもいる。
国際的にも薬物犯罪に対しては極めて厳しい取締りがあることを、十分に知らしめなければならない。
3. 薬物乱用防止教育
中高生による薬物乱用を防止する方法としては、学校教育が最適と考えられる。
薬物の有害性や危険性を学年に応じて分かり易く説明し、いかに薬物乱用が身体の破綻をきたすかを、啓蒙しなければならない。
薬物の習慣性、依存性、中毒性を説き、安易に体験することから廃人に至るまでの過程を体験談や臨床的症例をまじえ具体的に明示すること。
また、薬物を所持している少年や、薬物取得可能な環境にある少年たちの早期発見も重要である。
少年の生活環境の熟知に可能な限り努め、薬物乱用に巻き込まれる恐れのある少年の発見、連絡、補導は有機的、効果的且つ迅速でなければならない。
すなわち、地域・学校・行政との密接な連携が必要である。
薬物乱用に付随する重要な問題点は少年犯罪の惹起である。
依存性は理性を喪失せしめ、大麻などを買うための金欲しさに少年らを非行に走らせるのである。
行政は、今こそ有害薬品から次世代を担う少年たちから徹底的に守るべき義務がある。
相談活動、街頭補導活動、暴力団・闇組織・地下組織による薬物売買の徹底取り締まり、矯正施設の充実を図り、これ以上の犠牲者を出すべきではない。
薬物依存者の社会的復帰に向けた公的機関がまだ設置されていないことは極めて残念である。
覚せい剤、シンナー、大麻などの薬物乱用・依存による若年者の精神的、身体的破壊は、その立ち直りに膨大な時間と経費がかかる。
平成15年の厚労省の年間試算によると、薬物乱用・依存による社会的損失は取り締まりや医療費、刑務所への収容費用などを合計すると、約2,068億円に上るとしている。
■おわりに
薬物乱用を許さない社会を作るには、家庭、学校、地域、行政の連携が重要であることは言うまでもないが、脱法ドラッグ売買やインターネットのサイトによる薬物取得など身近な手段にも、厳しい目を向ける必要がある。
日本は薬物対策が遅れており、薬物依存症者の現状、年間死亡数などの基礎データが殆ど無い。
若年者に対し、現実逃避や好奇心の手段としての薬物乱用がいかに悲惨なものであるかを啓蒙し、被害者に対しては早期社会復帰のための施設を整えるべきである。
「参考文献」
1) 学校保健の動向 平成15年度版 (財)日本学校保健会編
2) 国民衛生の動向 (財)日本統計協会 2003年
3) ストップ・ザ・ドラッグ (財)日本学校保健会編 2000年
投稿者 azuma
